先の見えない不安の中、5分程待っていると、ジャージ姿の恰幅のいい爺さんが出てきた。
黒スーツの男どもは、めいめい挨拶し、軽く受け答えながら、まっすぐ私のところに来た。
「遠いところすまなんだなぁ、○○さん(
おじさんタレント)に、口の堅い、金に執着してない若い衆おらんか?って聞いたら、あんたが、おる。言うてな、それで、ここまで来てもろてん。仕事いうか、簡単な軽作業や。先にチャッチャッと済まして、美味いもんでも食いに行こう!」
人懐こく私に声をかけると、ジュラルミンケースを持った男どもに作業開始の合図を送った。
すると、大地主の爺さんの前に横一列に並ぶと、手錠の鍵穴を爺さんの前に差し出した。爺さんは懐から鍵の束を出し、手錠の鍵をはずし、次にジュラルミンケースの鍵もはずし、6人の男どもが持つ全てをはずし終わると、
「ほな全部、中のもの出してまおか!」と指示すると、6人全員一斉にジュラルミンケースの中身を大広間の畳の上にぶちまけた。